米国ノースカロライナ大学が、高脂肪食をとった際に懸念される健康への悪影響をブドウのポリフェノールが打ち消す手助けをするかもしれないという動物実験の報告を行いました。
ブドウのポリフェノールは、飽和脂肪酸に富む高脂肪食による負の健康影響を打ち消す助けになるかもしれない、という米国ノースカロライナ大学からのマウスを用いた動物実験の報告。研究チームは昨年から今年にかけて2件の報告を『栄養生化学雑誌』誌に発表した。 最初の研究で、研究チームはバターの脂肪を多く含む(エネルギー比率33%)高脂肪食に、3%ブドウを添加した餌をマウスに11週間にわたって食べさせたところ、対照群に比べて体脂肪率と皮下脂肪が低下したことを明らかにした。この低下は腸内細菌叢の変化、即ち、いわゆる善玉菌の増加、多様性の増加、腸バリア機能の改善と関連が見られたという。 第二の研究は16週間にわたって実施され、研究チームは、ラード、ヘット、ショートニング、バターを用いてより高い脂肪(44%)食を与えた。ブドウの効果を調べるために、ブドウから抽出したポリフェノール画分、非ポリフェノール画分、あるいは5%ブドウ汁を各々添加した。 その結果、ブドウポリフェノールを添加した群では体脂肪、皮下脂肪、腹部脂肪が低下しただけでなく、肝臓のと脂肪の炎症マーカー、耐糖能、腸バリア機能も改善した。第二の研究では、5%ブドウ汁添加群では代謝プロフィールの改善は観察されなかったが、腸内細菌は改善された。 「この2つの研究は、ブドウとブドウポリフェノールが高脂肪食を摂取することによるいくつかの悪影響を打ち消す助けになることを示唆していいる」と筆頭研究者のマイケル・マキントシュ博士はコメントしている。出典は『栄養生化学雑誌』。 (論文要旨)
飽和脂肪酸とは
脂質の材料で、エネルギー源として大切な脂肪酸です。ラードやバター、肉類の脂肪や乳脂肪に多く含まれます。溶ける温度が高く、常温では固体で存在するため、体の中で固まりやすく、しかも中性脂肪やコレステロールを増加させる作用があるため、とりすぎると肥満の原因になります。また、血中に増えすぎると動脈硬化、心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病の原因にもなります。ファストフードや洋食がすっかり定着している現代では、この飽和脂肪酸をとりすぎる傾向にあります。
ブドウのポリフェノールとは
ブドウの皮や種に含まれていて、強力な抗酸化作用があるポリフェノール「アントシアニン」や「レスベラトロール」が豊富。これらのポリフェノールは活性酸素を除去してくれるので、血中に過酸化脂質ができるのを抑制する効果があります。
※過酸化脂質とは、血中のコレステロール・中性脂肪が活性酸素により酸化したもので、動脈硬化の原因になります。血流が悪くなることで代謝も落ちてしまうので、肥満の原因にも。
ポリフェノールを効率よくとるためには
ポリフェノールは皮の部分に多く含まれるので、ブドウを食べるときは皮ごと食べるのがおすすめです。また皮ごと煮るジャムなどに加工するのも上手な食べ方ですよ。ブドウの加工品、赤ワインにも多く含まれています。
最近のブドウは糖度が高いものも多いので、いくらポリフェノールが豊富だからと食べすぎは禁物ですよ!
まとめ
研究報告は動物実験によるものでしたが、ブドウのポリフェノールは私たちのからだを若々しく健康に保ってくれます。研究が進めば脂っこい食事を食べた後の罪悪感もなかったことにできる日が来るかもしれませんね!高脂肪食のとりすぎに注意しながら、ブドウのパワーで健康なからだをつくっていきましょう。
2016.5.4 , EurekAlert より:
参考文献:もっとからだにおいしい野菜の便利帳 白鳥早奈英監修
Author Profile
- 管理栄養士
- 2010年管理栄養士を取得。社員食堂栄養士、栄養相談員、商品開発など経験するなかで「食べたものが自分をつくっている」ということを改めて実感し、食に関する知識や栄養のバランスがとれた食事の大切さを日々発信している。食いしん坊の1児の母。
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