子ども向けとして売られている果汁飲料に含まれる糖分は「容認できないほど高い」?! 英国リバプール大学が自国内の200以上の商品の糖度を測定した結果報告がありました。
研究者らは、子どもをターゲットとして販売されている果汁入り飲料や100%果汁飲料、スムージーに含まれる糖分を調べるため、国内ブランドまたはスーパーのオリジナル商品の飲料203商品について、1パック(200ml)あたりの遊離糖類の量を測定した。遊離糖類の測定の結果、飲料の種類ごとに、また同じ種類でも商品によって含有量にかなり差があることがわかった。商品の半数は、子どもの1日あたりの遊離糖類摂取量の限度として推められている19g(ティースプーン5杯)を超えてしまっていたとのこと。研究者によると「砂糖入りジュースは子どもたちの歯や体型に有害であるとの認識を広めることは、多くの親たちに果物ジュースやスムージーを選ばせることになりました。残念なことに、私たちの研究によってこれらの親たちは誤った方向に導かれたことが示されました。100%果汁飲料やスムージーも含め、果汁ジュースの糖度は容認できないほど高いのです。そしてスムージーは最悪の犯罪者のうちのひとりなのです。」
遊離糖類:ブドウ糖や果糖などの単糖類、しょ糖や砂糖などの二糖類のことで、食品や飲料に添加されるもののほか、はちみつ、シロップ、果汁、濃縮果汁の中に天然に存在している糖類のことを言います。ただし、世界保健機構(WHO)のガイドラインでは、新鮮な果物や野菜、牛乳中に自然に存在する糖は含まれていません。
砂糖を減らすと肥満や虫歯リスクが減る
WHOが2015年3月に発表したガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」によると、成人と子供の1日当たりの遊離糖類摂取量を総エネルギーの10%未満に減らすように進めています。10%未満に抑えると、過体重や肥満、虫歯のリスクが減少することが分かっていて、さらに5%未満にまで減らすと健康効果が更に上がるといわれています。成人1日の総エネルギーの5%未満の砂糖の量を計算すると25gほどで、ティースプーン約6杯になります。
ジュースや加工食品にも糖分が含まれていて、サイダー500ml 約50g、コーラ500ml 約55g、缶コーヒー200g 約15g、スポーツドリンク500ml 約33gの砂糖が含まれています。100%濃縮還元果汁ジュース200mlには約25gも糖分が含まれています。また、調味料として使われるケチャップには、大さじ1杯に約4g、ウスターソース大さじ1杯 約5gの糖分が含まれています。角砂糖1個が約4g、大さじ1の砂糖が9gですから、かなりの量の糖分が含まれていることが分かります。
砂糖を減らす一工夫
選ぶときにひと工夫をして対処すると良いでしょう。ケーキやお菓子などを食べるときに一緒に甘いジュースなどをのんでいませんか?日頃からジュースの代わりにお茶や水、麦茶など、糖分を含まない飲み物を飲むように心がけましょう。さらに、調味料のかけすぎや使いすぎにも注意して下さい。市販されているおかずや加工食品も、味が濃く気がつかないうちに砂糖の摂りすぎになっているかもしれません。目に見えない糖分に気を付けましょう。
まとめ
100%果汁飲料やスムージーは健康に良いと思われていますが、飲みすぎはかえって糖分の摂りすぎを招き、逆効果になるという研究結果となっています。果汁入りジュースは最大150mlに、果物のジュースを飲むよりも果物そのものを食べる方が良いと研究者は述べています。甘いものは魅惑の食べ物。摂りすぎにならない様、適度な量を心がけ選択できるようにしましょう。
参考文献:, EurekAlert 想像以上?子ども向けジュースの糖分
食品安全委員会
公益社団法人 日本WHO協会
gooヘルスケア
Author Profile
- 管理栄養士 / 調理師
- 総合病院にて厨房・調乳業務や個人病院にて栄養指導に従事。「栄養士は栄養学だけ。」にならない、おいしいレシピの提案を目指す。現在は、フリーランスとして書籍やコラムの執筆協力やレシピ作成等の活動をしている。
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