アボガドの摂取が、食事の質がより良いこと、体重がより低いこと、正の健康的なパラメータと関連することを分析により見出した、という米国ベイラー医科大学からの研究報告がありました。
研究チームは、米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを分析し、アボカドを摂取しない者と比較して、アボカドを摂取する者の体重は、食事の質の全体的な向上、必須栄養素の摂取量の増加、体重の低下、BMIの低下、ウエスト周囲径の低下などと関連する可能性があることを見出した。インスリンおよびホモシステインの濃度は、アボカドを摂取した群では低下し、メタボリック症候群の発症率も有意に低下した。ホモシステインの上昇は、心血管疾患のリスク増加と関連するという。メタボリック症候群は、糖尿病や脳卒中などの心臓病やその他の健康問題のリスクを高めるリスク因子である。
■重要事項のまとめ
(1) アボカドを摂取しない者と比較して、アボカドの摂取により、以下が認められた。
・食物繊維、総脂肪、良い脂肪(一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸)、ビタミンEとビタミンC、葉酸、マグネシウム、銅とカリウムの摂取量がより高いこと。
・総炭水化物、砂糖、ナトリウムの摂取量が少ないこと。(2) アボカドを摂取する者は、『健康的な食事指数2010』で測定する食事の質が改善した。
(3) 生理学的尺度は、次のように改善した。
・アボカドを摂取しない者と比較して、アボカドを摂取する者の体重は、平均7.5ポンド(3.4kg)減少し、平均BMIは1単位減少し、ウエスト周囲径は1.2インチ(3cm)減少した。
・アボカドを摂取する者は、アボカドを摂取しない者と比較して、過体重または肥満になる可能性が33%低く、ウエスト周囲径が増加する可能性が32%低下した。
・アボカドを摂取する者では、メタボリック症候群の発症率が有意に減少した。調査結果は、アボカドの摂取と、栄養素および食物群の摂取量、食事の質、健康バイオマーカーとの関連性に基づくものである(2001年から2012年に、NHANESに参加した19歳以上の成人29,684人のデータを使用)。1日平均76g(中程度のハスアボカドの半分ほど)新鮮なアボカドを摂取し、24時間思い出し法による食事調査によって評価した。食生活の質は、健康摂食指数-2010(HEI-2010)を用いて測定した。この指標は、『米国人のための食生活ガイドライン2010』の順守を測定するものである。
「調査結果は、米国人にとって、アボカドを摂ることが、推奨される果物と野菜の摂取量を満たし、生理学的尺度を改善する方策の1つになる可能性があることを示している」と『アボカド委員会(Hass Avocado Board)』(米国農務省(USDA)管轄組織)のニッキ・フォード氏は語っている。2017.5.23 , EurekAlert より(論文要旨) 出典は『内科学レビュー』
アボカドの嬉しい健康効果
不飽和脂肪酸がコレステロールを減少
果物に分類されていますが「森のバター」と呼ばれるほど脂質の多いアボカドですが、含まれている脂質は不飽和脂肪酸のオレイン酸です。オレイン酸は、コレステロールを下げて血液をさらさらにする働きがあるので、動脈硬化を予防します。アボカドのほか、オリーブオイルやキャノーラ油などの植物油やナッツ類にも多く含まれています。
豊富な食物繊維で生活習慣病の予防
アボカドには食物繊維も豊富です。食物繊維は水溶性と不溶性がありますが、水溶性より不溶性の方を多く含んでいます。不溶性食物繊維は便秘解消や胃の中に長時間滞在し満腹感を得られるため肥満の予防が期待でき、水溶性食物繊維は血糖値の急上昇やコレステロールの吸収抑制をするので、糖尿病や動脈硬化の予防に役立ちます。食物繊維は水分を吸収してふくれるので、しっかり摂るようにしましょう。
ダイエットや美肌にも
ビタミンB1、B2などのビタミンB群や、ビタミンEなどのビタミンやカリウムなどのミネラルがバランスよく含まれています。糖質・脂質・タンパク質の代謝に関わるビタミンB群は、ダイエットや美肌作りには欠かせません。ビタミンEは、ビタミンCと一緒に摂ると抗酸化作用が高まり、老化を予防し若さを維持する効果があると言われています。カリウムには血圧低下作用や筋肉の動きをスムーズにするほか、むくみの改善に必要です。
まとめ
クリーミーでまったりとした味わいが女性にも人気のアボカド。生活習慣予防等、健康効果も高いことが分かりました。健康によいとなれば、食卓に上がる回数も増えるかもしれませんね。美容や健康に欠かせない栄養価の高い果物ですが、エネルギーも高いので食べ過ぎには気をつけましょう。
参考資料
食品成分表
最新版からだに効く栄養成分バイブル
見てわかる!栄養の図解事典
もっとからだにおいしい野菜の便利帳