大半の食物アレルギーの子供は、ピーナツや牛乳などの食物アレルゲンと同じ部屋にいて呼吸をしても特に問題ない、という米国ミズーリ州にある小児慈悲病院からの報告がありました。
重度の食物アレルギーのある人々は、どんなかたちでもその食品に出会うことを極度に心配する。だが、本研究によれば大部分の子供は特に神経質になる必要はないようだ。
「近接食品チャレンジを開発して、食物アレルギーの子供たちの不安が和らぐ手助けをした」と筆頭研究者のチトラ・ディナカール医師は語っている。「このチャレンジは、ピーナツバターや牛乳などの食物アレルギーの子供たちが、その食品と同じ部屋にいられるだけでなく、そこの空気を呼吸でき、肌に触れても大丈夫であることを確認する。子供たちは自分で、食物アレルゲンのそばいにいても、食べたり眼に入れたり、鼻から吸い込んだり擦り傷の上に付けたりしなければ問題ないことを学ぶ。それは大きな安らぎを与える。」
食物アレルギー患者の中には、食品への接触事故を避けるために社会行動を控える者もいるという。子供たちはしばしば学校で「アレルギーフリー」のテーブルに座るように要請されるが、ほとんどの場合、アレルゲンを口に入れない限りは問題が起こることはないという。ただ、わずかな割合ではあるが、重症のアレルギー患者では、アレルゲンを含んだ埃や蒸気によって症状が出ることもあり注意が必要だ。
食物アレルギーとは
身体の中には、ウィルスや病原菌などから身体を守る働きをする免疫があります。本来、食べ物は異物と判断されないのですが、食品に含まれる主にタンパク質が原因物質となり、異物と判断され過剰反応してしまうことで食物アレルギーを発症します。食物アレルギーの症状は、ほとんどが食べてすぐから1時間以内で発症します。皮膚症状、呼吸器症状、消化器症状、全身症状とあらゆるところで症状が現れます。最も多いのは皮膚症状で、かゆみ、じんましん、むくみなどです。
卵は早期に少量摂取で発症リスク減
これまでは、原因食品として割合の高い鶏卵やピーナッツなどの食物アレルギーの原因となる食品は早いうちから食べない方が良いとされてきました。しかし、国立成育医療研究センターの研究結果によると、生後6ヶ月より固ゆで卵を与えたグループは、与えなかったグループに比べ、1歳時の鶏卵アレルギーの発症率(%)が約8割減らすことが出来たとの発表がありました。アレルゲンとされる食品を摂らないのではなく、離乳期から少量ずつ与え体を慣らす事でアレルギー発症が減少するという今回の発表は、必要以上に卵を避けなくても良いととらえることが出来るでしょう。また、母親の妊娠期・授乳期の食事は、お子さんが既に特定のアレルギー症状を発症すると分かっている場合を除いて、母体での食物制限はアレルギー発症には関係ないと言われています。アレルギー発症前に、過敏になりすぎなくても良いかもしれません。ただし、既にアレルギーのある方やアレルギーが疑われる方は、自分で判断することは危険なので、必ず専門医にご相談下さい。
特定原材料等は27品目
食物アレルギー症状を引き起こす物質を含む原材料に指定されている特定原材料等は、現在27品目にのぼります。そのうち7品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)に関しては特定原材料を含む場合は記載が義務づけられています。また、残りの20品目は通知を推奨するものとされていますが、箱や袋等に記載されている商品も多く見受けられるようになっているので、分かりやすく、かつ選択しやすくなっています。消費者庁では、時代の変化にも対応出来るよう全国実態調査等を行い、研究と見直しを行っていくとのことです。
まとめ
多種多様な加工食品が増え、食卓は華やかに便利になっています。重症の場合を除き、あまり気にしすぎずバランスの良い食事を心がけるのが良いかと思いますが、ひやりはっと防止のためにも、特定原材料等の表記に注目していくべきではないでしょうか。
参考資料
LINK de DIET リンク・デ・ダイエット http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=56354&-lay=lay&-Find
国立成育医療研究センター https://www.ncchd.go.jp/press/2016/egg.html
日本ハム株式会社 食物アレルギーねっと http://www.food-allergy.jp/
Author Profile
- 管理栄養士 / 調理師
- 総合病院にて厨房・調乳業務や個人病院にて栄養指導に従事。「栄養士は栄養学だけ。」にならない、おいしいレシピの提案を目指す。現在は、フリーランスとして書籍やコラムの執筆協力やレシピ作成等の活動をしている。
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