米国イリノイ大学で眼の中のルテイン濃度が高い子どもは、認識力および学業試験の成績が高い傾向があることがわかったという研究結果が発表されました。
眼の中のルテイン濃度が高い子どもは、認識力および学業試験の成績が高い傾向があることがわかったという。米国イリノイ大学の研究。2つの新しい研究において、眼の中のルテイン濃度と認識力・学力との関連は、IQや性別、身体組成や体力といった、もともと学業成績に影響を与えるとされる要因の影響を考慮しても認められたという。
ルテインと、加齢における認知機能の保持の関係性が明らかになっているが、子どもの認識力における役割はわかっていなかった。そこでカーン教授らのチームは、8-10歳の子ども49人を対象に、眼のルテイン濃度を測定するとともに、認知作業に取り掛かっているあいだの脳活動を脳波計で記録した。すると、P3と呼ばれる脳活動のスパイクは、ルテイン・レベルの高い子どもではより低い傾向にあること、そしてこれらの子どもは作業成績が高い傾向があったという。同じチームの別の研究では、8-9歳の子どもを対象とした実験で、ルテイン・レベルの高い子どもは低い子どもよりも学力テストの成績が高いことなどを明らかにした。カーン教授は、子どもの成績の良し悪しに影響する要因として、身体フィットネスやIQ、社会経済学的状態、BMIに対し、ルテイン濃度も引けを取らないものとしている。また、今回の研究は因果関係を説明するものではないとしながらも、ルテインが子どもの認識力にとって重要な食品構成要素としての潜在的役割を持っていることが理解される上での第一歩である、としている。出典は『栄養神経科学』。(論文要旨)
学力アップにつながるルテインとは
黄、橙、赤色などの天然色素カロテノイドのうちの1種で、キサントフィル類の代表的な黄色の色素です。体内では、βカロテンなどの喫食可能な他の色素と比較しても、優先的に脳に蓄積されることがわかっており、抗酸化剤としての作用があることで知られています。これらの色素は幼児の脳にはより多く存在するため、脳の発達の上で重要な役割を担っていることを示しているのではないかともいわれています。また、眼の黄斑部と水晶体にもルテインが集中しており、ブルーライトを吸収するルテインはフィルターの役割を果たします。太陽光を浴びたときには活性酸素とブルーライトのダメージの両方から網膜を守り、失明のおそれもある加齢黄斑変性症のリスクを低減させる効果があるといわれています。
ルテインのおすすめの摂取方法
ルテインは体内では合成できないため、食品から摂取する必要があります。ルテインは、緑黄色野菜や卵黄などに含まれ、ケールやほうれんそう、ブロッコリー、パセリなど色の濃い葉物野菜に豊富です。その他、グリーンピースやかぼちゃにも含まれています。ルテインは脂溶性のため、油とともに摂取することで吸収しやすくなる特性があります。オリーブオイルで炒めたり、マヨネーズで和えるなど、油と一緒に調理するようにするといいでしょう。特にケールはルテインが豊富な野菜として知られていますが、苦味も強いため、青汁などケールを使ったもので補うのもおすすめです。
まとめ
ケールやほうれんそうなどに多く含まれるルテインは、眼を守るだけでなく、子供の認識力・学力との関連があることが注目されています。ルテインは体内では合成できないため、食品から効率的に摂るようにしましょう。
出典:『栄養神経科学』(論文要旨)
Author Profile
- 管理栄養士 / フードスタイリスト
- 食品メーカーでフードスタイリング・食卓分析・商品企画などの経験を積んだのち、フリーの管理栄養士として、栄養指導やダイエットカウンセリングのほか、健康関連のコラム執筆、レシピおこし・料理写真撮影など幅広く活動中。
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