食物繊維が少なめで飽和脂肪や糖分を多めに摂取すると、睡眠が浅くなり、睡眠による回復力が低下し、途切れがちな睡眠になるようだ、という米国コロンビア大学医療センターからの研究報告。
食物繊維を多めに摂取すると、深い徐波睡眠の時間が増えたが、対照的に、飽和脂肪からのエネルギーの割合が高くなると、徐波睡眠が少なくなった。そして、糖分の摂取が多めになることは、睡眠からの覚醒が多くなることと関連していたという本研究ではまた、参加者が自分で選択する食事よりも、栄養士が設計したたんぱく質が豊富で飽和脂肪が少ない決められた食事を食べた後は、眠りに就くのがよりはやくなることが判明した。参加者は、自分で選んだ食べ物や飲み物を食べた後には眠りに就くのに平均29分かかっていたが、管理された食事の後にはわずか17分で眠りに就いた。研究チームは、平均年齢35歳で標準体重をもつ成人26人を対象として無作為化クロスオーバー試験を行った。参加者の内訳は、男性13人、女性13人であった。睡眠検査のために5泊する間、参加者は、午後10時から午前7時までの9時間をベッドの中で過ごし、夜に平均で7時間35分の睡眠をとった。睡眠ポリグラフィによって、客観的睡眠データが毎晩集められた。管理された食事を3日間摂取した3日目の夜の睡眠データ、および5日目の1日間に食事を自由に摂取した5日目の夜の睡眠データを分析した。
日本人の睡眠の質の状況
平成26年国民健康・栄養調査によると、1日の平均睡眠時間は、男女ともに6時間以上7時間未満と回答した割合が最も高く、男性34.4%、女性33.9%となっています。また、ここ1か月間、睡眠で休養が充分に取れていないと答えた人の割合は20.0%で、年々増加傾向にあります。年齢階級別にみると40歳代が最も高く、働き盛りと称される年代で疲労回復が不十分だと感じている傾向にあります。質の悪い睡眠が原因で生活習慣病になることも分かっていることから、今回のデータ結果をもとに食物繊維とタンパク質を十分に、脂肪を減らしたバランスの良い食事を摂ることで質の良い睡眠をとることが出来るのではないのでしょうか。
眠りの重要性
睡眠不足や、不眠症・睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が増加しています。睡眠不足は、事故やうつ病、生活習慣病、作業能率や注意力の低下につながります。ぐっすりと眠ることは十分な休養を摂ることが出来るだけでなく、記憶・気分調節・免疫機能の増強など、さまざまな精神機能や身体機能に関連しているとされているので、質の良い睡眠を保つことは日常生活を送るために必要なことなのです。
よく眠るために効果的な食べ物
良い睡眠をとるためには、睡眠ホルモンのメラトニンがしっかり分泌されるような食事を摂ることが大切です。メラトニンの分泌を促すためには、原料となるトリプトファンが必要になります。必須アミノ酸であるトリプトファンはタンパク質に含まれているので、肉類、魚類、納豆や豆乳などの大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品 などを摂ることで分泌促進が期待できます。加えて、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムもメラトニンの材料となるので、合わせて摂ると効果的です。
参考資料:平成26年国民健康栄養調査、e-ヘルスネット、快適.Life