塩分を控えると、味や香りが落ちると不安になりませんか?マレーシアのテイラー大学は、美味しさを損なわずに塩分を減らす調味料の代替として、魚醤の可能性を示しています。
食品技術協会(IFT)が発行する『食品科学雑誌』に掲載された研究によれば、ベトナムの魚醤を、チキンブロスやトマトソース、ココナッツカレーに加えると、10-25%の塩化ナトリウムが抑えられ、美味しさや塩辛さ、香りを維持したまま減塩できる。
魚醤とは
魚醤は、魚やイカ、エビを原料に塩を加えて漬け込み発酵させたものから出た液体で、独特の風味のある調味料です。日本の3大魚醤は、秋田のしょっつる、石川のいしる、香川のいかなご醤油。そのほか、鮭や鮎などで作られている魚醤もあります。東南アジアではなじみのある調味料で、タイではナンプラー、ベトナムではニョクマムが知られています。
魚醤の栄養と減塩効果
塩に漬け込んだ魚は発酵し、魚の内臓や肉に含まれている酵素で魚の動物性たんぱく質が分解されて、グルタミン酸などのアミノ酸やアミノ酸が数個繋がったペプチドといった物質が出来ます。グルタミン酸は昆布などにも含まれているうまみ成分なので、グルタミン酸を多く含む魚醤は、うま味が詰まっている調味料であると言えます。2010年米国医学研究所の報告によると、うまみ成分には減塩機能があるとのことです。
日本食品標準成分表によると、ナンプラーの塩分は100gで22.9g。大さじ1杯には3.3gの塩分が含まれています。このことから、魚醤をうまく活用すれば、うまみ成分であるグルタミン酸の効果もあり、味や香りを損なうことなく減塩できる可能性があると考えられるのではないでしょうか。
魚醤を使った料理
魚醤には独特の臭みがあるため、炒めものなどの加熱する料理に適しています。加熱しない料理に使う場合は、加熱した場合よりも臭みが気になる場合があるので、様子を見ながら使用してください。ナンプラーは、サラダ等で使う際にはレモン汁と合わせて使うとさっぱりと食べられ、より本場の味に近づきます。少量使用するだけで十分な塩味が得られ風味も格段に上がるので、少しずつ調整しながら調理しましょう。
オススメレシピ①厚揚げのナンプラー炒め
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鶏胸肉の時短・簡単・無国籍料理店風
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簡単副菜 レンコンきんぴら
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うまうま♫ナシゴレン@インドネシア
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魚醤の旨みたっぷり肉野菜炒め
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まとめ
日常的には使うことが少ないであろう魚醤ですが、うま味や香りをうまく利用することで減塩効果を得られるかもしれません。ただし、使いすぎは効果を減らしてしまうので、少量から取り入れてみましょう。
参考文献
EurekAlert:
減塩のための新たな調味料:魚醤,2016.2.9
クックパッド
Author Profile
- 管理栄養士 / 調理師
- 総合病院にて厨房・調乳業務や個人病院にて栄養指導に従事。「栄養士は栄養学だけ。」にならない、おいしいレシピの提案を目指す。現在は、フリーランスとして書籍やコラムの執筆協力やレシピ作成等の活動をしている。
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